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先日ホームページをリニューアル公開しました。

 

 

新しいホームページのURLはこちらになります。

http://kasukabeharu-ah.com

 

現在ご覧いただいてるこちらの旧ホームページはいずれ開けなくなります。

ご確認よろしくお願いいたします。

 

佐藤

2023年7月14日更新

こんにちは、獣医師の高橋です。

 

犬猫にも心臓病があること、みなさんはご存知でしょうか。

 

その診断・治療のためには心臓病の検査が必要になります。

 

今回は心臓病と検査についてご紹介します。

 

 

「心臓病」は珍しい病気ではありません

現代の犬の死因のうち、「心臓病」は「がん」についで2番目に多い病気です。

 

10歳以上のシニア犬では30%以上が心臓病を患っていると言われています。

 

また、猫において代表的な心臓病である肥大型心筋症の有病率は約15%と推定されています。

 

死因では4番目に多いとされており、特に問題となるのは突然死です。

 

 

 

心臓病は早期発見・治療が重要

犬の心臓病は「咳」や「疲れやすい」、「呼吸困難」、「倒れる(失神)」などの症状が現れてから発見されることが多く、その時には既に心臓病が進行してしまっています。

 

また、猫ではいよいよ悪いという状態になるまで目立った症状を示さなかったり、特に症状を示さないまま、ある日突然亡くなってしまうこともあります。

 

そうなる前に、早期に発見することで、適切なタイミングで治療が始められたり、その後の病気のコントロールがしやすくなったります。

 

 

 

心臓病かどうかはどうやったらわかるの?

心臓病の疑いがあるかどうかは、診察時に身体検査(聴診)で分かることがあります。

 

特に犬は心臓病があると、まだ目立った症状がなくても大抵は心臓の雑音が聴こえます。

 

ただし、心臓病の出始めの場合ははっきりした雑音を伴わなかったり、日によって雑音が聴こえたり聴こえなかったりすることがあります。

 

猫においては心雑音を伴わないケースも多く、その場合はさらに詳しい検査をしない心臓病があるかないか分かりません。

 

また高齢に伴い心臓病が増える犬と違い、1歳未満の若い猫でも心筋症が見つかることがあります。

 

 

 

注意したいのは、

 

身体検査で心臓病の疑いを持つことはできても、

 

それだけで診断をつけたり、治療開始のタイミングや治療内容を決定するのは困難ということです。

 

 

また、同じタイプの心臓病でもその子により最適な治療は異なります。

 

 

正確な診断と適切な治療を行うには、身体検査以外に、

 

・レントゲン検査

 

・心臓超音波検査

 

・心電図検査

 

・血圧測定

 

・血液検査

 

などが必要です。

 

 

当院ではこれらを組み合わせて心臓病検査(心臓ドック)を実施しております。

 

検査は完全予約制で、日中お預かりになります(午前中にお預かりして夕方お迎えにきていただきます)。

 

他の病院で現在治療中の場合でも、検査を受けていただくことが可能です。

 

また、猫の場合、上記の検査とは別に、採血した血液で心臓病マーカーを測定することもできます。

 

確定診断にはなりませんが、心臓病がありそうかどうか、診断の補助として使用することはできます。

 

詳しくは当院までご連絡ください。

 

 

病気を早期発見し、治療するためにも、

 

小さく我慢強い家族のために、年に1~2回の検査を検討してあげてください。

2023年1月8日更新

こんにちは、獣医師の高橋です。

 

突然ですが、ワンちゃんネコちゃんの避妊手術、されていますか?

未避妊のワンちゃん、ネコちゃんで食欲や元気がなかったり、ぐったりしたり、

陰部から膿のようなものが出ていたりした場合は要注意!

 

「子宮蓄膿症」の可能性があります!

 

この病気は、発見や治療が遅れると命に関わることがあり、救急疾患に分類されます。

今回はその「子宮蓄膿症」について解説します。

 

 

どんな病気?

病名の通り、子宮に膿が溜まる病気です。

 

発症には黄体ホルモンが関係しています。

ホルモンの影響を受けて分厚くなった子宮内膜は細菌感染が起こりやすくなります。

 

細菌が感染することで、子宮内に膿が溜まり、子宮蓄膿症を発症します。

 

犬の場合、発情出血開始後1〜2ヶ月で発症することが多いため、

いつ発情出血がきたかは診断する上での重要な情報となります。

 

ワンちゃんでは特に未避妊の中齢犬・高齢犬に発生が多いです。

 

発生率は、文献によってさまざまで、

4頭に1頭と言われることもあれば、50%程度、

9歳以上のワンちゃんでは66%という報告もあります。

 

いずれにせよ、高い発生率であることが分かります。

 

対してネコちゃんは、若齢でも発症することが多いのが特徴とされています。

 

 

どんな症状が出るの?

・元気消失、食欲低下

・お水をいっぱい飲む、おしっこをたくさんする(ワンちゃんでよく見られます)

・嘔吐

・下痢

・発熱

・ぐったりしている

 

ただしこれらの症状は子宮蓄膿症だけに特化した症状ではありませんので、

検査で病気を診断していく必要があります。

 

陰部から膿の排出が認められることもありますが、

必ずしも全ての子で見られる訳ではありません。

 

また病気が進行すると、細菌感染や炎症が全身にまわり、

多臓器不全や敗血症を起こすことがあります。

ぐったりしている場合は注意が必要です。

 

 

診断や治療

診断は、身体検査、血液検査、エコーなどの画像検査によって行います。

 

治療は、手術で子宮と卵巣を摘出します。

これが唯一の根本的な治療法となります。

 

あまりにも本人の状態が悪い場合は、先に点滴などの治療をして、

少しでも状態を改善してから手術することもあります。

 

予防について

避妊手術をしてあげることが予防につながります。

 

中年齢以降のワンちゃんでは、比較的よく見る疾患ですので、

若いうちに避妊手術をしておけばよかった」という飼い主さんの声を聞くこともあります。

 

超高齢な子を除いて、避妊手術に遅すぎるということはありませんので、お気軽にご相談ください。

2022年11月25日更新

こんにちは。

獣医師の佐藤です。

 

今回は緊急疾患!!

『胃拡張捻転症候群』という病気のお話です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下のレントゲン写真をご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この子は「お腹が張って苦しそう」とのことで来院されました。

 

身体検査で腹部が大きく張っていて「うっうっ」と苦しそうに呼吸してました。

レントゲン写真では胃から腸にかけて大量にガスが溜まっています。

もしこのあと、胃がぐるっと捻じれてしまうと、

急激に血圧が低下しショックに陥ります。

非常に致死率が高く緊急的に手術をしないと亡くなってしまいます。

 

 

このように急に胃が膨らみ捻じれてしまう病気を

『胃拡張捻転症候群(GDV)』といいます。

 

 

 

『胃拡張捻転症候群』は主に犬で認められる病気です。

特にグレート・デーン、セント・バーナード、ジャーマン・シェパードなどの

大型犬によくみられる病気ですが、

小型犬や猫においてもまれに認められます。

 

※ちなみにこのレントゲン写真はミニチュア・ダックスフントです。

 

 

原因は解明されていませんが、

 ・1日1回の多量な食事

 ・早食い

 ・食後の運動

 ・加齢

 ・ストレス

などが危険因子として考えられています。

 

症状は通常、食後すぐに認められます。

 ・よだれ

 ・吐き気

 ・嘔吐のしぐさ(吐こうとするが物は出ない)

 ・腹囲膨満(お腹が大きく膨れている状態)

 ・口腔粘膜の蒼白化(歯茎の色が青白くなる)

 ・ショック(グッタリして動けない状態)

などがあれば胃拡張捻転症候群の疑いがあります。

 

 

『胃拡張捻転症候群』は夜間救急病院でも割とよく遭遇する病気です。

大型犬に限らず、ご家族には覚えておいて欲しい緊急疾患のひとつです。

 

発症から時間がたてば経つほど重症化しますので、

「なんかおかしいな?」

と感じたらなるべく早く受診をしましょう。

 

2022年11月4日更新

ワンちゃんで「しこり」や「できもの」ができたといって病院に来られる飼い主さまはとても多いです。

 

実際には良性のイボのようなものから、悪性の腫瘍まで、一口に「しこり」といっても様々なものがあります。

 

今回は、ワンちゃんにできる悪性腫瘍のひとつであるリンパ腫についてお話します。

 

 

そもそも「リンパ腫」ってなに?

リンパ腫とは、血液のがんのひとつで、リンパ球と呼ばれる免疫細胞ががん化して起こる腫瘍です。

 

リンパ腫はワンちゃんの腫瘍全体の724%を占め、比較的発生頻度の多い腫瘍とされています。

 

リンパ腫は発生した部位によって、以下のように分類されます。

 

① 多中心(たちゅうしん)型

② 縦隔(じゅうかく)型

③ 消化器型

④ 皮膚型

⑤ 白血病

⑥ 節外(せつがい)型

 

多中心型や縦隔型ははっきりとしたしこりができますが、消化器型はしこり状にならないこともあります。

 

中でもワンちゃんに最もよく発生するのは多中心型リンパ腫です。

 

今回はこの多中心型リンパ腫についてご紹介します。

 

 

ワンちゃんのリンパ腫の約80%は多中心型リンパ腫

多中心型リンパ腫は、体の表面(体表)にあるリンパ節にできるリンパ腫のことです。

 

体表のリンパ節は正常ではあまり触れませんが、リンパ腫ができ腫れたり大きくなったりすると手で触ることができます。

 

ワンちゃんで図のような場所にうずらの卵より大きいしこりが触れた場合は病院で診てもらいましょう。

 

<ワンちゃんの体表リンパ節>

 

多中心型リンパ腫では、通常、複数の体表リンパ節が腫れてきます。

 

目立った症状を示さず、「しこり」に気づいて来院される飼い主さまが多いですが、

 

中には、

 

・食欲不振

・元気低下

・体重減少

・下痢や嘔吐

・咳や呼吸困難

 

などの症状が見られることもあります。

 

 

診断について

主に細胞診の検査で診断します。

 

腫れているリンパ節に針を刺し、細胞を採取して顕微鏡で観察します。

 

必要に応じて遺伝子検査やレントゲン検査、血液検査などを組み合わせることもあります。

 

 

治療について

化学療法(抗がん剤)が最もオーソドックスな治療法です。

 

他の腫瘍に比べ、抗がん剤がよく効くことが分かっているので、手術での腫瘍の摘出などは行わず抗がん剤治療に入ることがほとんどです。

 

また、複数の抗がん剤を組み合わせて使うことが最も効果的なため、いくつかの抗がん剤を週ごとにローテーションします。

 

ただし、リンパ腫を根治させることは難しいため、抗がん剤治療の目的は、主に寛解(かんかい)という、がんを抑えられている状態にし、それを維持することです。

 

リンパ腫は、一般的に、無治療では数週間で死に至るといわれています。

治療がうまくいけば、数ヶ月〜場合によっては数年生きることも可能です。

 

抗がん剤を使用すると、白血球が少なくなることで感染が起こりやすくなったり、下痢嘔吐などが出たりすることがあります。 


なるべくこれらの副作用が出ない範囲で抗がん剤を使用しますが、

万一出てしまった場合は、抗生剤や下痢止めを使用したり、抗がん剤の量を少なくしたり、投与を延期したりします。

 

また、抗がん剤の治療を飼い主さまが望まれない場合はステロイド剤の投与を行います。

 

 

さいごに

リンパ腫も早期発見・治療が大事な病気です。

日ごろからワンちゃんの体をよく触って気になるしこりがないかセルフチェックしていきましょう。

 

 

高橋

2022年9月24日更新

こんにちは。

日中の暑さも和らぎ、朝晩は過ごしやすい気候になってきましたね。

 

 

今回は「前庭疾患(ぜんていしっかん)」についてお話します。

 

 

中年齢から高齢の子で、

 

急にふらふらして立てない

 

頭が傾いて(斜頸)まっすぐ歩けない

 

吐き気が強く食べられない

 

このような症状が見られた場合、「前庭疾患」の可能性があります。

 

 

〇前庭というのは平衡感覚(体のバランス)を担う部分です。

 

脳幹、小脳、内耳とそれらの伝導路である前庭神経を前庭系といいます。

 

この「前庭系の障害」によって起こる疾患を「前庭疾患」と呼びます。

 

 

 

前庭疾患の子の顔を正面からみると、両目が左右に揺れているのが観察されることが多いです。

 

これを眼振(がんしん)と呼びます。

 

眼振は上下方向だったり、ぐるぐる回転しているように見えることもあります。

 

人がバットをおでこに当ててその場でグルグル回転した後のように

(バラエティー番組でたまにみますよね)

 

目が回ってヨタヨタしている状態になってしまいます。

 

悪心(気持ち悪い状態)を強くともない、吐き気が続いたり食欲不振が見られやすいのも特徴です。

 

 

 

〇前庭疾患は、

 

末梢性前庭疾患・・・内耳の障害(耳の病気)、甲状腺機能低下症(ホルモンの病気)など

 

中枢性前庭疾患・・・脳幹や小脳の障害(頭の病気)、メトロニダゾール中毒(薬剤中毒)など

 

に分類されますが、

 

原因がはっきりしない特発性前庭障害のことも多いとされています。

 

 

残念ながら特効薬は無いため、出ている症状に対して治療を行っていきます。

 

耳の病気があれば、耳の洗浄処置や抗生剤などの投与が大事になります。

 

吐き気が強く食事がとれない場合は、点滴や吐き気止めの注射が必要でしょう。

 

重症度にもよりますが、1~2週間以内に何かしら良い変化が見られる子が多いように感じます。

 

 

しかし中には徐々に悪化するケースや重い障害が残ってしまう子もいます。

 

また、脳疾患の究明にはMRIなどの検査が必要になるケースもありますが、

全身麻酔を必要とする検査のため、高齢の子には時にハイリスクな選択となるでしょう。

 

症状の程度と状態を把握したうえで、ご家族と相談しながら治療方針を一緒に考えましょう。

 

 

治療にはご自宅でのケアも大事になります。

 

食事がとりにくい場合は、やわらかく食べやすい形状のフードを選び、

 

食器を口元にもっていったり手で与えたりしてみましょう。

 

また、何気ない段差でつまづいて怪我をしたり、

狭い隙間に入り込んでしまってパニックになったりすることもあります。

 

極力段差をなくし仕切り扉を設けるなど、生活環境を整えて怪我を防止しましょう。

 

そして、不安そうであれば優しく声をかけてあやしてあげてください。

 

ただし、抱っこ中に暴れて落下させてしまう危険性があるため、

不必要に抱っこするのはやめましょう。

 

ご家庭の状況や、その子の状態によって対処の仕方には様々な工夫が必要です。

 

スマートフォンなどで動画を撮って視せていただくとアドバイスがしやすいですね。

 

 

その他、気になることがあればどうぞ遠慮なくご相談ください。

 

 

 

以上、今回は「前庭疾患」についてのお話でした。

(佐藤)

2022年9月2日更新

だんだん気温の高い日が多くなってきました。エアコンを点けたり、お散歩の時間帯を調節したり、暑さ対策できていますか?

 

熱中症は、人間と同様、重症化すると命に関わる危険な病気です。熱中症にならないための対策や、もしなってしまった時の対応などをしっかり知っておきましょう。

 

 

なぜ熱中症になるの?

人間は主に汗をかくことで放熱(体温調節)しますが、ワンちゃんは「ハアハア」と口を開けて呼吸(パンティング)することで水分を蒸発させ放熱します。

 

特に高温多湿環境下では、体内の熱産生が熱放散を上回ったり、熱放散がうまく機能しなかったりすることで、体温が上昇し、熱中症に陥ります。

 

熱中症で緊急来院した症例の死亡率は50%とも言われており、熱中症が疑われた時点で迅速かつ適切な処置をすることが重要です。

 

 

熱中症の症状は?

✓激しいパンティング

✓粘膜の充血

✓よだれがだらだら出る

✓元気消失

✓頻脈

 

さらに重篤な状態になると…            

✓嘔吐、下痢

✓意識障害、けいれん発作、ぐったりする

などが見られます。

 

 

熱中症になりやすい時期、犬種は?

・時期

夏(6~9月)に発生しますが、特に6月中旬~7月初旬は要注意です。また、5月でも気温が25℃を超える日は注意が必要です。

 

・犬種

パグやフレンチブルドッグなど、マズルが短いいわゆる「短頭種」と呼ばれる犬種や、興奮しやすい性格のワンちゃん、大型犬や肥満のワンちゃんは熱中症になりやすい傾向があります。ネコちゃんは一般的にワンちゃんに比べると熱中症は起こりづらいとされています。

 

 

熱中症の治療

体表冷却が基本になります。

 

★体表冷却の方法

①涼しい場所へ移動し、安静にできる状態を確保します。

②水道水で身体全体を濡らし、扇風機やエアコンなどで送風します。

③脇の下や股にアイスパックをあて冷やします。

体表冷却を行う際の注意は、氷水やアルコールを使用しないことです。氷水は皮膚の血管を収縮させてしまうため、冷却効率が逆に下がります。またアルコールより水の方が冷却効率が優れているため、アルコールをかける必要はありません。

熱中症が疑わしい場合は、上記のような処置をしながら、すぐに動物病院に連絡し、可能な限り早く受診するようにしましょう。

 

★体表冷却のほかに行う処置

体表冷却は動物病院でも行う処置ですが、病院ではそれ以外に

・静脈点滴または皮下点滴

・酸素吸入

・その他合併症を起こしている場合はその疾患に対する治療

を重症度に応じて行っていきます。

 

 

熱中症は動物でも救急疾患に分類されており、重篤化すると死に至ることもある怖い病気です。

 

しっかり熱中症対策・予防をして夏も快適な生活を送れるよう心がけてあげましょう。

 

獣医師 高橋

2022年6月25日更新

こんにちは。

今回はわんちゃん猫ちゃんの治療食・療法食についてのお話です。

 

健康な子に与えるフードは、

「総合栄養食」という栄養バランスにすぐれたフードです。

年齢に合わせ、パピー・キトン、アダルト、シニアと別れているものが多いです。

 

一方、治療の一環として病気を患っている子に与えるフードを

「療法食」または「治療食」などとよびます。

 

療法食は、基本的に健康な子には与えない方が良いフードです。

特定の病気に対して成分調整をしてあるフードのため、

健康な子や別の病気の子に与えてしまうと、

栄養不足になったり、病態を悪化させてしまう恐れがあるからです。

 

もちろん、体重管理用や消化器系の療法食のように、一般の子が食べても問題が無い食事もあります。

 

病気の子に最適な療法食を選ぶには、専門的な知識や病態の把握が必要となり、

一般の方(飼い主さん)には難しいと言えるでしょう。

 

例えば、「肝臓が悪い」にしても、肝機能低下があるのか、肝細胞障害なのかでは選択するフードは違ってきます。

すべての肝臓の病気に対して「肝臓用の療法食」を与えれば良いという訳ではないのです。

 

消化器疾患の療法食だけでも各メーカー何種類もありますので、

適切な食事の選択は獣医師でも時に悩むことがあります。

 

 

当院では現在在籍する獣医師・看護師の全員が、

栄養管理アドバイザーの資格を取得しています。

これはロイヤルカナン社が行うセミナーを約一年間毎月受講し、

最終試験に合格して認定されるものです。

 

「なんとなく…」

「感覚的に…」

 

ではなく、

その子にベストな食事プランを一緒に考えましょう。

お気軽にご相談ください!

 

 

以上です。         佐藤

2022年6月3日更新

ワンちゃんやネコちゃんに接種するワクチン。人間のワクチンと同じように、ワクチンは特定の感染症を予防するために接種するものです。何の感染症を予防できるかはワクチンの種類によって変わってきます。今回はワンちゃん・ネコちゃんのワクチンについてご説明します。接種の前に、ワクチンについての知識を深めましょう。

 

<目次>

・ワクチンの種類

-狂犬病ワクチン

-混合ワクチン

・ワクチンの接種時期について

・ワクチン接種後の注意点について

・ワクチンの抗体価検査について

 

 

●狂犬病ワクチン

狂犬病を予防するためにワンちゃんに接種するワクチンです。

 

狂犬病は、発症すると100%死亡する怖い病気です。

 

発症した犬に嚙まれることで人間にも感染し、有効な治療法はなく、

WHOによると全世界で毎年約55,000人が狂犬病で亡くなっています。

 

日本では年度につき1回、ワンちゃんへの接種が法律で義務付けられています。

 

近年は、狂犬病ワクチンの接種率の低さが問題視されており、平成29年度の予防注射実施率は71.4%とされています。

 

しかしこれは登録されているワンちゃんにおける接種率であるため、未登録のワンちゃんも含めると全体の接種率は50.7%程度ではないかと言われています。

 

WHOでは、「感染症の流行を防ぐためには全体の70%が免疫を持っていることが必要」としているので、それと比べると国内での流行を防げる数値には達していないことが分かります。

 

 

混合ワクチン

ワンちゃん・ネコちゃんにおける特定の感染症を予防するためのワクチンです。

1回のお注射で複数の感染症を予防することができます。

 

狂犬病ワクチンとは異なり、法律で接種が義務付けられているわけではありませんが(任意接種)、

かかると命に関わる病気も含まれていますので、しっかり予防することが重要です。

 

 

 

当院で扱っているワンちゃんの混合ワクチンと予防可能な疾患

当院では5種と8種の混合ワクチンを取り扱っています。

ワンちゃんのライフスタイルに応じてどちらを打つか決めていきます。

 

 

 

当院で扱っているネコちゃんの混合ワクチンと予防可能な疾患

当院では3種の混合ワクチンを取り扱っています。

 

 

 

<混合ワクチンの豆知識>

混合ワクチンの接種については、世界小動物獣医師会(WSAVA)がガイドラインを発表しています。

その中でワクチンはコアワクチン・ノンコアワクチンに大きく分けられています。

 

コアワクチンは主に致死率の高い疾患が分類されており、生活環境に関わらず、すべての犬・猫が接種するべきワクチンと定義され、

ノンコアワクチンは生活環境やライフスタイルに応じて、その感染症にかかるリスクがある犬・猫にのみ接種するべきワクチンと定義されています。

 

★犬における分類

※1 犬伝染性肝炎・犬伝染性喉頭気管炎それぞれに有効

※2 そのワクチンの使用と感染症予防の効果に関して科学的根拠となるデータが不足しているワクチン

 

★猫における分類

 

 

●それぞれのワクチンの接種時期について

 

・狂犬病ワクチン

法律に基づき年度につき1回接種します。

当院では国の方針に従い、4~6月の間での接種をおすすめしています。

生後90日以内の子犬のときは、生後90日を経過した日から30日以内に接種することが法律で定められています。

 

・混合ワクチン

1年に1回の接種をおすすめしています。

子犬・子猫のときは生後6~8週ごろに1回目の混合ワクチンを接種し、

生後16週齢を過ぎるころまで、2~4回のワクチン接種をします。

 

 

 

●ワクチン接種後の注意点について

ワクチンの接種後、まれに体調を崩す子がいますので、接種後2日間はトリミング・シャンプーや激しい運動を避け、安静にしていただくようにお願いしています。

 

元気食欲がない、嘔吐や下痢など、気になる症状があればご連絡ください。

 

 

<ワクチンアレルギーについて>

ワクチンアレルギーとは、ワクチン接種後に見られるアレルギー症状のことです。

 

最も注意しなければならないのは「アナフィラキシー」と呼ばれるもので、

全身性のショック(急にぐったりする)・呼吸困難や興奮、激しい下痢・嘔吐などが見られます。

 

全身性のショックなど重篤な副作用の発生は接種後30分以内が多く、このような症状が出た場合はすぐに救命処置をする必要があります。

 

その他のアレルギー症状として、接種後数時間で顔が腫れる(ムーンフェイス)やじんましん等のアレルギー症状が見られることがあります。

そのような症状が出た場合は、お薬を使ってアレルギー症状を抑えてあげます。

 

 

 

●ワクチン抗体価検査について

混合ワクチンに含まれる感染症に対して、体内に十分な抗体があるかを測定し、ワクチン接種が必要かどうか判断するための検査です。

 

混合ワクチンに含まれるすべての感染症に対しての抗体価を測定するわけではなく、特に重要なコアワクチンに該当する感染症についての抗体価を調べる検査になっています。

 

病気の治療中もしくは過去にワクチンによる副反応が出たことがあるなどの理由によりできれば混合ワクチン接種を見送りたい場合などに行います。抗体価を調べる場合は、混合ワクチンの接種間隔と同様に、1年に1回の測定を推奨しています。

 

抗体価が陽性だった場合は混合ワクチンの接種を見送り1年後に再検査とし、陰性だった場合はその子の体調を考慮し混合ワクチンを打つかどうか決めていきます。

(前回のワクチンから3年がたつ場合は健康上の問題がない限り抗体価検査ではなくワクチンの接種をおすすめしています。)

 

 

 

★当院における混合ワクチン・抗体価検査の費用★

 

 

ワクチンは、大事な家族であるワンちゃんやネコちゃんを病気から守ってくれるものです。適切な時期にしっかり接種する、または抗体価の検査をすることが大切です。何か分からないことがあれば、お気軽に当院までご相談ください。

 

2022年3月26日更新

こんにちは。

本日はとても天気が良く、過ごしやすい日になりそうですね。

 

 

今回は症状別に考えられる代表的な病気や病態を挙げてみたいと思います。

 

動物の場合、人間の言葉をしゃべってくれる訳ではありません。

 

「寒くて震えているのかな」と思ったら実は「痛みによる震え」だったり、

「足を痛がっている」ように見えて実は「神経の異常」だったり、

同じような症状でも原因が違っていることがあります。

 

つまり症状の評価には時に主観的な判断が含まれますので、

必ずしもすべてが以下に当てはまるわけではありません。

 

日頃診察をするなかで、比較的遭遇することが多いものを挙げてみます。

 

例えば

 

「風邪をひいたみたい」であれば

・くしゃみ鼻水・・・鼻炎、歯周病

熱がある・・・感染症、熱中症、自己免疫疾患

咳をしている・・・気管支炎、気管虚脱、肺炎、心臓病、フィラリア症

 

などが考えられます。

 

以下、ほかに思いつくものを挙げてみます。

 

 

「お腹の調子が悪そう」

嘔吐・・・胃炎、腸閉塞、消化管内異物、腎臓病、中毒

下痢・・・誤食、ストレス、寄生虫、食物アレルギー

・お腹ぎゅるぎゅる鳴ってる・・・胃腸炎

 

「どこか痛そう」

足をあげている・・・関節炎、脱臼、骨折、神経病

キャンキャン鳴いてる・・・椎間板ヘルニア、強い痛み、痙攣発作

激しい震え・・・痙攣発作、痛み

 

「皮膚が悪そう」

・掻く舐める・・・膿皮症、食物アレルギー、アトピー、ストレス

・脱毛や発疹・・・寄生虫、糸状菌症、副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症

・体が臭う・・・脂漏症、マラセチア皮膚炎、外耳炎、歯周病

 

「おしっこトラブル?」

頻尿や血尿・・・膀胱炎、膀胱結石、尿道閉塞、前立腺炎

陰部や肛門を舐める・・・子宮蓄膿症、肛門嚢炎、肛門周囲腫瘍、尿道閉塞

 

「痩せてきた」

・食欲はあるのに・・・甲状腺機能亢進症、癌、糖尿病、慢性心臓病、低蛋白血症

食欲不振・・・歯周病、口腔内腫瘍、慢性腎臓病・肝臓病、慢性鼻炎

 

「呼吸がくるしそう」

激しくハァハァ・・・熱中症、過剰興奮、痛み

舌が青白いぐったり・・・心臓病、肺炎、急性貧血

 

「元気がない」

急にグッタリして動けない・・・心臓病、急性貧血、急性腹症

・あまり動きたがらない・・・炎症性疾患、痛み、内臓疾患

 

 

いかがでしょうか。

 

普段の診療で良く出会う症状をピックアップしてみました。

 

他にも何か食べてしまった怪我をして出血しているなどもありますが、

これらは分かりやすいので原因をさらに追究する必要はないでしょう。

 

特にで記した症状緊急性が高いものです。

 

私が勤務している夜間救急病院では当然ながら赤の症状がほとんどです。

 

すべての病気を挙げているわけでは無いですし、当てはまらない場合もあるでしょう。

 

いつもお伝えしていますように、様子を見すぎて手遅れになることが一番つらいです。

 

状態の変化に気づいたら早めにご相談ください。

 

写真は我が家の猫たちです。 以上です。          佐藤

 

2022年2月26日更新