病院紹介

こんにちは、獣医師の高橋です。

 

突然ですが、ワンちゃんネコちゃんの避妊手術、されていますか?

未避妊のワンちゃん、ネコちゃんで食欲や元気がなかったり、ぐったりしたり、

陰部から膿のようなものが出ていたりした場合は要注意!

 

「子宮蓄膿症」の可能性があります!

 

この病気は、発見や治療が遅れると命に関わることがあり、救急疾患に分類されます。

今回はその「子宮蓄膿症」について解説します。

 

 

どんな病気?

病名の通り、子宮に膿が溜まる病気です。

 

発症には黄体ホルモンが関係しています。

ホルモンの影響を受けて分厚くなった子宮内膜は細菌感染が起こりやすくなります。

 

細菌が感染することで、子宮内に膿が溜まり、子宮蓄膿症を発症します。

 

犬の場合、発情出血開始後1〜2ヶ月で発症することが多いため、

いつ発情出血がきたかは診断する上での重要な情報となります。

 

ワンちゃんでは特に未避妊の中齢犬・高齢犬に発生が多いです。

 

発生率は、文献によってさまざまで、

4頭に1頭と言われることもあれば、50%程度、

9歳以上のワンちゃんでは66%という報告もあります。

 

いずれにせよ、高い発生率であることが分かります。

 

対してネコちゃんは、若齢でも発症することが多いのが特徴とされています。

 

 

どんな症状が出るの?

・元気消失、食欲低下

・お水をいっぱい飲む、おしっこをたくさんする(ワンちゃんでよく見られます)

・嘔吐

・下痢

・発熱

・ぐったりしている

 

ただしこれらの症状は子宮蓄膿症だけに特化した症状ではありませんので、

検査で病気を診断していく必要があります。

 

陰部から膿の排出が認められることもありますが、

必ずしも全ての子で見られる訳ではありません。

 

また病気が進行すると、細菌感染や炎症が全身にまわり、

多臓器不全や敗血症を起こすことがあります。

ぐったりしている場合は注意が必要です。

 

 

診断や治療

診断は、身体検査、血液検査、エコーなどの画像検査によって行います。

 

治療は、手術で子宮と卵巣を摘出します。

これが唯一の根本的な治療法となります。

 

あまりにも本人の状態が悪い場合は、先に点滴などの治療をして、

少しでも状態を改善してから手術することもあります。

 

予防について

避妊手術をしてあげることが予防につながります。

 

中年齢以降のワンちゃんでは、比較的よく見る疾患ですので、

若いうちに避妊手術をしておけばよかった」という飼い主さんの声を聞くこともあります。

 

超高齢な子を除いて、避妊手術に遅すぎるということはありませんので、お気軽にご相談ください。

2022年11月25日更新