病院紹介

こんにちは。

獣医師の佐藤です。

 

今回は緊急疾患!!

『胃拡張捻転症候群』という病気のお話です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下のレントゲン写真をご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この子は「お腹が張って苦しそう」とのことで来院されました。

 

身体検査で腹部が大きく張っていて「うっうっ」と苦しそうに呼吸してました。

レントゲン写真では胃から腸にかけて大量にガスが溜まっています。

もしこのあと、胃がぐるっと捻じれてしまうと、

急激に血圧が低下しショックに陥ります。

非常に致死率が高く緊急的に手術をしないと亡くなってしまいます。

 

 

このように急に胃が膨らみ捻じれてしまう病気を

『胃拡張捻転症候群(GDV)』といいます。

 

 

 

『胃拡張捻転症候群』は主に犬で認められる病気です。

特にグレート・デーン、セント・バーナード、ジャーマン・シェパードなどの

大型犬によくみられる病気ですが、

小型犬や猫においてもまれに認められます。

 

※ちなみにこのレントゲン写真はミニチュア・ダックスフントです。

 

 

原因は解明されていませんが、

 ・1日1回の多量な食事

 ・早食い

 ・食後の運動

 ・加齢

 ・ストレス

などが危険因子として考えられています。

 

症状は通常、食後すぐに認められます。

 ・よだれ

 ・吐き気

 ・嘔吐のしぐさ(吐こうとするが物は出ない)

 ・腹囲膨満(お腹が大きく膨れている状態)

 ・口腔粘膜の蒼白化(歯茎の色が青白くなる)

 ・ショック(グッタリして動けない状態)

などがあれば胃拡張捻転症候群の疑いがあります。

 

 

『胃拡張捻転症候群』は夜間救急病院でも割とよく遭遇する病気です。

大型犬に限らず、ご家族には覚えておいて欲しい緊急疾患のひとつです。

 

発症から時間がたてば経つほど重症化しますので、

「なんかおかしいな?」

と感じたらなるべく早く受診をしましょう。

 

2022年11月4日更新